記事一覧

花かおり 花ひらく

ここは言葉の生花店。言葉の種を植え、芽吹かせ、花咲かせる。その香りと共に種は風に乗って、どこかに芽吹きを運ぶ。やがてそこにも花開く。その風の流れ、たゆたい、ゆらゆら揺れる花びらと日の光。言葉を通して生まれる瞬間瞬間が心をくすぐる。あの人の耳元も、あなたの目元もまた。触れた人の心を彩る花束のような言葉を届けたい。その花束は詩、散文、小説、シナリオ、コラムという名前で呼ばれるものかもしれない。紡ぐ言葉...

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溜息が止まらない

どんなにくたびれたって 全然僕を諦めきれない自分にいやはや また笑う日々 溜息が止まらない不機嫌を押しつけたり よりわがままになった仕方ない僕を 打ちのめした人がいた恋の手管を思い出しどうしたものか 腕組み思案に暮れて暮れて言葉なら簡単なこの気持ち どう伝えようと思う今日のところはありのままペチャクチャと互いの心 探り合ったり決めつけたりはしないままふたりのかたちを間違ってこさえぬようにあなたの前...

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短編シナリオ集「摩天楼の天使ども」 第五話『特急さよなら』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。東京の雑踏の中で花ひらくささやかな男どもの日常を綴ったシリーズ、   『摩天楼の天使ども』。今回は第五話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「早速、第五話のあらすじですが」 顕太「はい。今回のお話はこれまでとは違って、或る地方都市の駅、そのプラットホームが舞台です。   東京...

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ミカン

「ひとりで帰れる」 朗らかに答えられた日さらしの長袖 揺れるほど広がる匂いきっと思い出す 着飾るたび同じ匂いずっと忘れられないよ それはこびりついた 冬の残り香「大丈夫」の合図を見て “守らなきゃ”と勘違いそっと持ち上げるように そっと口を動かす逃げられぬ心 電話の中に置いてけぼり居心地の悪い硬い椅子の 痛みが逃げていく間何も聞こえない 例えば好きなフルーツもこれは素敵な時 だけど罰だった きっと十...

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短編シナリオ集「摩天楼の天使ども」 第四話『白衣の資格』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。改めまして、戻って参りました『摩天楼の天使ども』。   東京に舞い降りた愛すべき天使どもの奇跡のような日常を綴るシリーズ、   今回は第四話の公開となります。よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「今回のお話、タイトルが『白衣の資格』。こちらはどういったあらすじでしょうか」 顕太「は...

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だって

もうわたしには聞こえない温かく また強く突きつけたいっぱいの歌が不愉快も孕んでいた暮らしを続けるまでになってやっとひとつの意味もない日々だったということ虚ろな枕元に むせかえる首筋にあった匂いはあなたの近くでもしたんだって浮かべた昨夜おしゃべりは笑って 甘やかして頂戴って脇腹つついたもしももしなんて言葉がなかったのならこんなに寝不足にもならなかった少しは背も伸びたのに 踵下ろしたのはもう何日も前あ...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル 中2編」 第四話『負けたくねー!』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。熱き鼓動と息吹溢れるバカ野郎どもの青春群像劇、『山の手ジュベナイル 中2編』。   今回は第四話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「今回はタイトルから滲み出てますねー。少年達の心の声というか、情熱的な思いというか。   『負けたくねー!』ということで」 顕太「はい。他人や大人...

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いくつになっても

もうしばらくはいいから どんな話もしないどこうあんなに長い道の先が近く見えるだろういくつになっても ちっともわからないなんにも言わずについてくりゃいいなと思いたい見たげるだけにしとく このこのこの なんて風につつきあったりしつつ 朝までだって付き合ったりでそれだけで俺達をあったかくする寒い午後 してしまったのを悔やみ暗い頃 したげたのは正しいと思うけど話はしないどこう あっち見るよ 見らんないよう...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル 中2編」 第三話『おしどりの巣』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。子供と大人の間を全力で駆け抜けていく少年達の物語集、   『山の手ジュベナイル 中2編』。今回は第三話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「はい。今回のタイトルは『おしどりの巣』。こちらはどういったお話でしょうか」 顕太「ええ。今回のお話は、ホームドラマであり、コメディであり、...

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やさしい

あとどれくらい 君は怒るだろうどんなに優しい声にも 笑わなかった事で分かる君の隣では 作り笑いもできないよ日向に出て 眩しさに泣いてしまえばいいんだ僕が僕をむしり取った時のように心の貧しさを笑われればいい君が傷付けた誰かの美しさが 君に優るとは言わないのただ君がえらくちっぽけな席に収まるのがおかしいだけたとえば 上手く笑えた時にはたとえば 話し疲れた時にはどんなに僕を頼りにしようというのよっかかれ...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル 中2編」 第二話『かかあ天下分け目の関ヶ原』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。思春期ど真ん中、大まじめにバカをやる少年少女の物語集、『山の手ジュベナイル 中2編』。   今回は第二話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「今回はまた、面白いタイトルですね。『かかあ天下分け目の関ヶ原』。   かかあ天下が大合戦を繰り広げるという、壮大なのか、チープなの...

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過日

大きな音で椅子引いた 畏まるしかなかった恥ずかしげに顔触って 深々頭下げたりして横向いて髪乱すのは何の戦略か まばたきからあと まっすぐこっち見ては断じて許されざる事だけ 白昼に晒された裏腹が痒い君は見ていますか この心の色を何といいますか瞼をこじ開ける光に向け つばを下げる以外に術があったらあいにく習っていないもので ただただ小さくなりましたそーっと視線を交わしたら 痛い痛い痛い「大袈裟なんだか...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル 中2編」 第一話『ナップザック恋慕』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。今回からまた新たなシリーズがスタートするようですが、   えーと、これは、新シリーズ……?」 顕太「新シリーズというより、続編ですね。タイトルが『山の手ジュベナイル 中2編』です。   今回も作者の私と主人公の俊哉君とで作品の紹介、よもやま話を紡いでいこうと思います。   よろしくお願いします」 俊哉「あ。よろし...

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たくさん

作り笑いの涙目から 聞き覚えのない「さようなら」他人事笑う僕でした 甘やかされたバカでした長い長い手紙の結び 見覚えのない「さようなら」ひたすら笑う僕でした 冷やかされたバカでした突然襲いかかった掌 身に覚えのない「さようなら」泣く泣く笑う僕でした ひっぱたかれたバカでした三度で最後にしたいものの 手には負えない「さようなら」思い出し笑う僕でした 洗い流した過去でしたなぜなら 熱心に君が君の話で笑...

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短編シナリオ集「摩天楼の天使ども」 第三話『パパの気持ち』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。東京の街に降り注ぐ奇跡と哀愁の物語集、『摩天楼の天使ども』。   今回は第三話の公開です。今日もよろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「早速、お話についてですが、タイトルが『パパの気持ち』と。   今回は、どんな天使が舞い降りるのでしょうか」 顕太「はい。今回は、男手ひとつで一人娘を育てた...

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タクシー

春風に髪を梳かして駆けていく君の眉毛に揃った前髪のようなあたたかな匂いを蒔き 僕の帰り道を辿るなだらかな下り坂 ここは変わらないと思う夜中に人知れず雨が降り終わった後に君はおもちゃのつけ髭のようなバカバカしい顔で泣き 僕の帰り道を辿る作り話を散りばめ やたら熱く熱く熱く軽やかにリズムを奏で 胸張っている細い目で眺めてみたり 心を小さくしたり目が合うまで笑ってやれ わがままに任せ小さな笑いを含んで吹...

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短編シナリオ集「摩天楼の天使ども」 第二話『丸めた背中にゃ寒いくらいが丁度いい』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。東京に生きる男達への賛美歌、『摩天楼の天使ども』。今回は第二話の公開です。   よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「今回はまた、長めのタイトルで。どういった男のお話でしょうか」 顕太「はい。北国から夢携えて東京に出てきた青年のお話です。   東京暮らしの中で埋もれてしまいそうな志に目を...

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風とろうそく

ゆっくりと冬の終わりを待ってる 南風を待っている闇を照らすろうそくも そっと温めてくれるよ急に素晴らしい時を知るような時誰も静かに消えていくよ すっかりあっという間に 街の上には夜何千年の同じ時が流れる時君のためにも明日はくるよ やっぱり空を塗る影 隠れた光を辿って長く染まる帰り道の足を止める時一人でない気がするよ ちょっぴり彼女の吐き出した 泣き声も届いている何もかも分からないよ さっぱり川に乗...

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短編シナリオ集「摩天楼の天使ども」 第一話『死ねません』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。今回から始まります新シリーズ、『摩天楼の天使ども』。   このシリーズも作者の顕太さんと共に作品のあらすじや見所などを   ざっくばらんに語っていきたいと思います。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「はい。早速、新シリーズですが、タイトルが『摩天楼の天使ども』。   こちらはどういった...

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霜月

いらないのかもしれないね 頑丈な表情に所在なさだって君の部屋からゆっくり数えて300歩立ち往生させた泡の雪見た 積もらないかと口開けた 溶けた帰り道ではふてくされた僕へ 騒がしくやってきた朝が嫌で今は歩いていたいだけ 無理した大股で 月が見えるまで僕がいっつも目覚めた瞬間 君に向けた想いはあっさり相手にされないでいて 寝相の悪さに吹き出して眠た目に沈んでいくから うるさく枕元に叫べ詰まった声で泣か...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第九話『うわー!』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。少年少女達の日常の冒険と成長を描いたシナリオ集、『山の手ジュベナイル』。   第九話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「今回のお話はタイトルが『うわー!』。   思いきり叫んじゃってますが、どういったお話でしょうか」 顕太「はい、今回のお話は一言で言うと、サスペンスドラマで...

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ひとりでに眠るまで

長く影を引くやさしい光 黙って眠る夜にも僕へ届く寝付かぬ彼の耳に呼ぶ声 掌に降る温かな雨あとから 心から 僕もまた時を合わせて忍ぶ思いの幾つか 痛みを抱えて海と夜のあいだ結ぶ星から 高く近く燃える目映さを浴び還る船を追う待ちわびた人 砂を蹴って歩く不機嫌な人涙に 今晩は 誰も皆声を上げて深く刻む幾つもの 慈しみ重ねて朝日を背に受け飛び回る鳥 戯れの歌聞こえくるまでいつまでもただ寝息を立てる 微笑ん...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第八話『お邪魔します』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。個性的な少年少女達の感情がぶつかり合うスタジアム、『山の手ジュベナイル』。   今回は第八話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「さて、今回のお話ですが、どういったストーリーでしょうか」 顕太「はい、これまでのお話は子供達を主人公に物語を展開してきましたが、今回の主人公は、 ...

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やっぱり

汗ばんだ長袖を風で煽り 君が国道に放った花の色掻き消される声に輪を掛けて 叫んだ口に花の香 艶やかひとり眺めるは ジョーロに濡れて淡く滲んだ花の色別れを告げる暦を辿る 悲しみの夜は長すぎたのに愛した面影は残らない ふと見た鼻の高さだけ何だか消えない影と影つないだ夜を渡り 低く話し始めた言葉の間どうしてつまるのかと思う忌々しく苦笑いを湛えた あの熱 あの痛み最後のトローチも苦い もうすっかり良くなっ...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第七話『雨に笑えば』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。心のままに生きる無邪気な少年少女達の物語、『山の手ジュベナイル』。   今回は第七話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「今回のお話はどういったストーリーでしょうか」 顕太「はい。今回は、俊哉君のクラスメイトのある男の子のお話です。   スポーツ万能のヒーローでもない、頭脳明...

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どんなに

簡単にはいかないくらい 説明するのは困難だその美しさから逃げだしたい真顔の逞しさも笑えば可愛くなるじゃない珍しいくらい何でも似合う女の子何より細長く伸びた右と左の足耳元の髪を上げて 広いおでこ見せてほくろに犯されて 八重歯にも撃たれて遊び心が素敵じゃない 負けず嫌いが不敵じゃない膨らんだ胸元 間違いなく暖かい持ち上げた踵 小さくたってきれいだからどこから見ても流れる影の滑らかさ 腰の辺りは柔らかに...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第六話『えんにち』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。個性溢れる子供達の遊び場、『山の手ジュベナイル』。今回は第六話の公開です。   よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「えー、今回のお話、遊び場は、タイトルにもある通り、『えんにち』ということで」 顕太「はい。子供達にとって縁日というのは真夏の夜の夢みたいなもので。   魅力いっぱいの出店...

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ゆらゆら

夏祭り 昼下がり浴衣着飾れば母の化粧台 桃色の紅こっそりこっそり 小指でなぞる唇ぎこちない歩様だな足音カタカタ 手を掴めば隣に歩くわたしの隣 あなたつまずくふりして 背中に触れる澄んだ水面含んだ愚痴も何もかも 混ざりようのないきれいなきれいな水面に小さな船とハレーション日暮れ 打ち上がる花火カメラやめてと言えば渋々 放り投げ天を見上げ壊れ消えゆく星を見る彼方くすんだ傷も「しまった」といつも足跡隠さ...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第五話『うらぎりもん』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。粒揃いの子供達が色付き熟すまでのモラトリアムな物語、『山の手ジュベナイル』。   今回は第五話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「えー、今回はどういったお話でしょうか」 顕太「はい。今回はタイトルにある通り、『裏切り』がテーマです。   『夏の終わり、復讐に燃える男の冷静で...

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夜半

小指だけ短くした前髪をつまむくらい間が延びた帰り道に たくさん見つけた 確か沈丁花先行く人と歩幅併せて息をしたバカバカしくて投げ出した こんな些細な魂胆をどうか知らん顔して抱きしめて ほら抱きしめてなだらかな坂の下から靴音ならして駆ける時幾千の散らばる光を追った夜半 あれが欲しいと指した途端まっすぐ君が見てる 頂戴 汗ばんだ鼻筋見て言ってやった薄笑いして どれ?とはよく言うわ大きな声で言って回ろう...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第四話『もときくん』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。個性溢れる子供達の無邪気な日常を綴る物語、『山の手ジュベナイル』。   今回は第四話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「さて、今回のあらすじは?」 顕太「今回は、子供達にとってのヒーロー的存在だった、近所のお兄さんが主役のお話ですね」 俊哉「はい。タイトルの『もときく...

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その声が聞こえたら

細い足でふらふらと揺れる 可愛らしく裾つまんで照れ隠しに飛沫上げる彼女や僕の靴下誰かのせいで濡れた 臆病に足を弾ませて近くとても近く長く 繋がる幾つもの影列を組んで腕を振って 瀬戸際を進む上向いて倒れる彼が 大きな声で笑うよまばたきの中の灯りとか 背中についたお腹とか甘え合う犬に似た彼と彼女 フォークも絡まるとりかえっこに手を上げて叱りつける膨れ顔に 涙目に すぐに彼女笑い始める誰もを強くする 叫...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第三話『DASH!』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。個性豊かな子供達が大暴れする物語、『山の手ジュベナイル』。   今回は第三話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「えー、今回のお話は、タイトルが『DASH!』。   こちらはどういったお話でしょうか」 顕太「はい。今回の物語の舞台は、少年野球です。   いつもは試合に出られな...

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Cool crew goes on

もう忘れた昨日は目の前で漂ったみんな思い出しながら あっけらかんと今朝からの生温かさだって 心地良いって言っていた口笛の折れ曲がった唇が呼んでいる雲が見えるうちは 軽やかに飛び跳ねんだ万が一 何も聞こえなくたって 忘れられる力を以てルールは飲み込んだばかりだろうエクボの奪い合いは消えたという事早とちりの切れ端を結ぶ けど絡まる思いきって連れてって 術はないが気ままに遠く出掛けるように いわば携える...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第二話『冷たい戦争』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。個性豊かな子供達が遊び回る物語、『山の手ジュベナイル』。今回は第二話の公開です。   よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「早速、あらすじ紹介といきたいのですが、今回もまた、ゾクッとするタイトルですね。   『冷たい戦争』と」 顕太「はい。東西冷戦構造の成り立ちと崩壊を描いた本作、 ...

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静かに揺れるまま

もし君が言葉にも傷をつけてしまっても僕の心にいくつも傷をつけてしまっても構わないよ深く眠る夜にも 目覚めの悪い昼も君がここで何回も黙っても 何回も尋ねても君が陽射しを避けても 君が太ってきても構わないよ静かにたゆたうまま 静かに微笑むから笑っていてよもし君が言葉にも傷をつけてしまっても僕の心にいくつも傷をつけてしまっても忘れてしまうよ気付かぬままいるような 気付いてあげないような僕の顔を引っ掻き傷...

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短編シナリオ集「山の手ジュベナイル」 第一話『逃亡者』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。今回からまた新シリーズのスタートです。タイトルは『山の手ジュベナイル』。   新シリーズも引き続き、あらすじ、解説など、作者の顕太さんとふたり語りでお伝えして参ります。   よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「では、新シリーズの概要をざっとお願いします」 顕太「はい。今回のシリーズは俊...

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マイガール

手ぶらのまま家から逃げて 夕食前に戻る間頬の痛みを噛み締める僕その胸に押しつけた言葉 精一杯の減らず口どうしようもなく騒がしいこの胸の辺りにこびりつくだけ彼女に出会った金曜日 はっきり思い出していたあどけなさは そうグリーンオレンジ踏み出す足が重たくて 蹴散らすようにベル鳴らし意気地なしの加速度上げた いつものじゃじゃ馬馴らしだけど彼女 背中もつねらなきゃ 落とし穴も知らない目隠しは止めてって言わ...

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行き先はなくてもトロンボーンは響く

二人してどこへ行こう友達は行ってしまった 僕らだけになってしまったくっついたり離れたり飛びあがる僕らにきっと罪はないさ首を後ろに向けて遠くを見るように僕をひどくけなす君の願いがきっと叶いますように早口の皮肉屋と大嘘つきの足取りその切れ味にいつまでも寄り道はつづくうろ覚えの名前を呼ぶ高い声に泣く少し耳を出して手をつないで静かにしていれば分かるさ僕のひどく小さな胸の中も指先で分かるさ息吸ったりすぐ吐い...

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短編シナリオ集「かあねえしょん」 第四話『尾花の頃』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。女性の心に咲いた一輪の花を摘むシリーズ『かあねえしょん』。   今回は第四話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「さて、今回のお話はどういった作品でしょうか」 顕太「はい。今回は両親と娘という、ひとつの家族に焦点を当てています。   同じ家に住みながら、生活時間も心の距離もバ...

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黄昏時

夕陽過ぎればここにも来るはず軽くカーディガンを掛けて安易に頷いた僕の話をしたがるだろういつか遠く流れてしまった ありのままを仕向けて浜には何も無いだけに駆け出したがる長すぎる半島やゆるゆるやかな凪人恋しさを跳ねっ返すように 叫んでしまうよこの影が消える時 間に合うのか音も無く忍び寄り はにかむのだひらひらと波も揺れる 冷めた水を舐める誰かゆりかごの横で僕らを見てるよう夕餉過ぎればここにも来るはずみ...

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短編シナリオ集「かあねえしょん」 第三話『バカ! バカ! バカ!』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。女性が心の奥に宿す真心に光を当てるシリーズ『かあねえしょん』。   今回は第三話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「よろしくお願いします」 俊哉「さて、今回のお話ですが、主人公はどういった方でしょうか」 顕太「はい。これまでとはひと味違って、小学五年生の少女が主人公です。   子供心と大人びた心と、その...

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小さな舟のメロディー

長い川を渡る小舟の上 ずっと彼女 空を見ていた少し生意気な風と 十二色の虹と共に空騒ぎして疲れて眠った 鳴らないオルゴール抱え閉じた瞼の奥から 溢れ出てくる夢などまだそばにいたいから 青林檎の花でも探そうかいつも他愛のないトーク 肘付いて悩んでるI wish I could sleep as deep as her.(彼女みたいにぐっすり眠れればいいのに)日の出桟橋 舟が行き着けば そのまま深く眠るだろういつかしたキスの意味を 忘れ...

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短編シナリオ集「かあねえしょん」 第二話『孫の手』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。女性の心の機微に触れる短編シナリオ集、『かあねえしょん』。   今回は第二話の公開です。よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「今回の作品は、タイトルが『孫の手』ということで、   こちらはどういった作品でしょうか」 顕太「はい。前回は母と娘のお話でしたが、今回は、孫と祖母のお話です...

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ショートカット苦笑

指先に歯を立てて笑う オレンジのTシャツにはベビーフェイス鼻頭を赤く腫らし 白い牛乳を飲み込む靴を捨てに外へ出よう 晴れた空は高い歌を歌い外を行こう 僕らの朝は早い階段を降りて登りだす 短めの髪が頬を叩く複写紙の含み笑い えぐり取るような八重歯の刃悪たれてつまずかせて すね蹴られて 足踏みをして道ひとつ逃げてくるだけで 隣の声が耳に届く黒い首元の逞しさ 風当たりは容赦なく静かな噴水に泳ぐ陽射し 向...

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短編シナリオ集「かあねえしょん」 第一話『女と女』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「えー。今回から短編シナリオ集の新しいシリーズ、『かあねえしょん』が始まります。   引き続き、あらすじのご紹介や、華麗なるクロストークなど、筆者の顕太さんとお送りしていきます。   よろしくお願いします」 顕太「はい。よろしくお願いします」 俊哉「さて、新シリーズ! 早速ですが、どういった内容でしょうか」 顕太「は...

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八分目

健気で小さくて なかなか笑わなくて困らせてあらゆる感情を睨み やたら首突っ込んでケラケラと音を立ててはしたなく笑う時もいらない所で誰か演じてはげんなりさせる大きな嘘をひとつ こぼれるように暴いてみせる奇抜な色でみんなを笑わせて一人が嫌いと 夜が嫌いと 雪が嫌いと言ってまわる誰からも褒められて 何よりも可愛くってやけに力んでいて言わない野望ひとつ 気付かせようとたまに見せる仕様がないなでもあったかく...

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中編シナリオ集「60分一本勝負!」 第2ラウンド 『幼気コンツェルト』

  女二十八、いつまでも少女の頃の心でいられるわけもなく、 現実はどっかりと目の前に腰を下ろしている。   あちこち夢を追いかけすぎてしまった女。 見せかけの幸せを取り繕う事に腐心する女。 一人、母として子供を育てようとする女。 捨てられぬ思いにかじりついてきた女。   目の前にある今日を精一杯生きる事でしか先に進めないのは分かっている。 だけど、疲れてしまう時もある。そんな時、分かり合...

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風邪みたい

たまたま見つけた顔した 嘘みたいに驚いた君がいたなんて とても右往左往君が大好きな気持ちで 37度越えたからくしゃみして咳をして 君にかかったのさひとりだらしなく浮つく 君の分からない所で君を思い出し とても右往左往季節の変わり色めく 吸い込んだ息乱れる君に酔う夜に とても歌おう騒ごう君が大好きな気持ちは 40度にも届くはず涙して しなだれて 君に寄り掛かったのさお酒分解した 涙になって乾いた君の涙も...

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短編シナリオ集「僕と僕らのおはなし」 第十五話『彼と彼女の情事』

ふたり語り 小笠原俊哉(『僕と僕らのおはなし』主人公、24歳)と筆者と― 俊哉「はい。僕、小笠原俊哉とその家族の日常を描いた、心のけぞる物語、『僕と僕らのおはなし』。   今回で第十五話の公開となります。よろしくお願いします」 顕太「はい、よろしくお願いします」 俊哉「さて、今回のお話は、意味深なタイトルですが」 顕太「ええ。これは、ある男と女の、道ならぬ恋、叶わぬ恋を描いた作品です」 俊哉「...

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プロフィール

Kenta.K

Author:Kenta.K
1979年、東京生まれ。著述家。